機械設計用CADのツールとして歯車の描画ソフトを作成しました。
使用したOS、開発環境、ソフトウェア、資料は以下の通りです。
OS:Windows10 64bit
開発環境:Visual Studio 2017
動作確認:Draftsight 2018 x64
参考資料:小原歯車工業(株) 様「歯車技術資料」
※AutoCAD LT、Rhinocerosにも対応予定
ソフトウェアのインターフェイス(GUI)をコンパクトにしました。
このソフトウェアでは諸元から大径・小径を求めるような簡単な計算は省きました。
電卓やCADで簡単に計算や描画できないインボリュート関数や転位歯形などを出力します。
どちらかと言うと、既存の特殊な歯車を測定し諸元を探し出すのに必要な機能に特化しました。
ソフトウェアの主な機能は以下の通りです。
- 転位歯車の出力
- ピンゲージ測定(オーバーピンから転位係数を求める)
- またぎ歯厚測定(またぎ歯厚から転位係数を求める)
転位係数にこだわる理由は、既存の歯車の復元・複製に必要だからです。
実在する歯車は以下の理由より理論値にはなっておりません。
- 設計上の意図的な調整(バックラッシュ・中心距離)
- カップリングなどはめ合い公差の調整
- 単なる加工誤差(工具の補正)
小原歯車工業(株) 様の「歯車技術資料」を参考に歯形を描画して確認しました。
以下の諸元の歯車をソフトウェアで描画して中心距離で並べました。
左の大歯車の諸元
モジュール:3
歯数:24
圧力角:20°
転位係数:0.36
歯先円直径:79.4
歯底円直径:66.6
右の小歯車の諸元
モジュール:3
歯数:12
圧力角:20°
転位係数:0.6
歯先円直径:44.840
歯底円直径:32.1
歯車の中心距離:56.4999
歯車技術資料から抜粋した転位歯形の出力結果は以下の通りです。
これは2種類の歯車を個別に出力して中心間距離で配置致しました。
歯形を拡大してみると以下のようになります。
歯先と歯元の形状はソフトウェアではなく加工方法などを考慮してCAD上で設計します。
歯先と歯底の形状を変更してみました。※これは適当な形状です
実際にはホブ、ブローチ、ギヤスカイピング、ワイヤーカットなど加工方法で変わります。
普通の噛み合い歯車なのか、インボリュートスプライン軸・穴など用途によって変わります。
補間精度を変更することで転位歯形の制御点の数を変更することができます。
歯車のサイズに合わせて変更することで高精度な歯形が生成できます。
出力するオブジェクト形式は「円弧」と「スプライン」が選択できます。
CAMで加工データ(NCデータ)を作成する際に「円弧」出力が役立つと思います。
以上です。(続く・・・)